2015年5月の映画鑑賞記録5-9

人からよく勧められたり話題に上がるだけ面白く、奇妙な話。ストーリーの作り込みや発想に豊かさを感じた。普通に見えて、いたるところがあべこべでトンチンカンな演出はアリスのような世界観とも共鳴し得ると思う。穴という発想がなかなか斬新でもあるし、これは現代美術とりわけアンディー・ウォーホルの作品に込められたメッセージも内包している。誰もがその穴の中に入れば、その時間だけスターになれる。それをよりコミカルでドラマティックに表現しているところがこの作品が映画である意味をもたらしている。
 
 
パシフィック・リム ブルーレイ
日本のSFアニメや特撮の影響を受けているな、ということが、なんの前知識なしに見てもひしひしと伝わってきて面白かった。「カイジュウ」との戦いを描いているものの、戦う際に人間が機体に入り、機体とシンクロするという部分からは、とくに特撮よりも近年の日本のSFアニメの影響をより強く感じた。そちらに重きを置いているのだ、ということを。監督が日本好きであることがよく伝わってくる。エヴァンゲリオンの影響がいちばんに色濃く出ていると言われそうでもあるが、AKIRAのネオ・トーキョーのような舞台も出てきたり、また、明らかに攻殻機動隊草薙素子さんとバトーさんからインスパイアされたであろうといったキャラクターデザインのなされたある種コスプレ的な登場人物も出てくるため、そういった要素も単純に楽しめる上に、内容もそれらのアニメが好きな日本人ならアツく楽しめるパワーのある一本だったと思う。
 
再鑑賞。「アレックス三部作」のなかではやはりこれがいちばん好きだ。ボーイ・ミーツ・ガールほどゴダール崇拝を表出しておらず監督の豊かな個性が生かされており、それもやんわりと残しつつカルトSF作品のような物語設定、ポンヌフの恋人より(も、もちろん名作だと思うし大好きだが)も大衆的でない点においてバランスがかなりよくとれていると再三感じる。そしてなにより、アレックス扮するドニ・ラヴァンの輝きを若々しく描きだすことに成功している。そこが個人的にとても好きであり、あのダンス&ダッシュのシーンは今まで観た映画の中でも最も印象的な場面のひとつだ。
 
■ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 
観た時とても疲れていて寝落ちしてストーリーが掴めなかったのが悔しいので、もう一度見て計算され尽くしたシナリオの面白さに感嘆したいと思う。設定や舞台がとても好みのものだった。とにかく頭が元気な時にもう一度観たい…。しかし、ストーリーは全把握できずとも断片的にもとても笑える、嫌みたらしいジョークがたまらなかった。